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【勉強会レポート】寺院統廃合の実際~お寺も"終活"する時代~

  • templeonlinesalon
  • 2023年12月14日
  • 読了時間: 5分

更新日:2024年9月25日

2023年12月13日。「Bラーニング」にて、「寺院の統廃合」の勉強会を開催しました。


山梨県にある日蓮宗 妙性寺御住職の近藤玄純さんを講師にお招きし、近藤さんが進めておられる二つのお寺の合併について、お話を伺いました。


高齢化、人口減少、過疎化などで、地域から人がいなくなれば、お寺を支える方の数も減っていき、お寺が成り立たなくなる(つぶれてしまう)ということがおきます。


そして、お寺が成り立たないという問題は、既に過疎地を中心に起きています。


また、日本は少子高齢化が進んでいますが、ということは、お寺を担う僧侶、寺族の少子高齢化も進んでいるということです。


つまり、お寺の住職や坊守などの高齢化が進みつつ、しかも後継ぎがいないというお寺が増えているということです。


こうした、お寺を支える方が減っている(お寺の近くに人がいなくなる)ことと、お寺を担う僧侶や寺族が減少しているという状況が重なりあって、お寺が維持できなくなるという問題が既に表面化してきていて、これから更に表出してくることが予想されています。(念のため補足すると、全てのお寺がそうというわけではありません。)


お寺業界は、今そうした状況にあって、「寺院の統廃合」を選択肢の一つとして検討するお寺も、今後出てくると思われます。


そうした中で、近藤さんが進めているお寺の合併のお話を伺うことで、「寺院統廃合」とはどういうものかや、もし今後の選択肢として「寺院の統廃合」を考える時に、どのようなことを検討していく必要があるのかなど、現実的に考える機会になると思い、近藤さんをお招きして勉強会を開催しました。




勉強会は参加懇志(参加費)をいただく形で開催していますが、今回も38名という多くの方にお申し込みをいただきました。それだけ関心が高いテーマであったことが伺えます。


個人的にも近藤さんのお話を伺えて良かったですし、またご参加者がそれぞれ自分ごとの問題として考えておられるように感じて、開催して良かったと思いました。


近藤さんは、ご自坊が取り巻く環境(人口動態など)や、ご自坊の状況(伽藍(建物)が老朽化して、再建や修繕が必要になっていること)などを考慮され、様々な角度から検討した上で結論を出されていました。


合併とは、二つのお寺であれば、少なくとも片方のお寺の名前は無くなってしまうことです。お寺の名前だけでなく、伽藍自体が無くなってしまう場合もあるでしょう。


ですから、そのお寺の方々や、信徒の方々などに、合併の必要性を伝え、具体的な計画などを示しつつ、対話を重ねて、合意形成をしていくことが欠かせません。


絶対な解はありませんが、様々な角度から検討をした上で、最適な解だと思えるものに辿り着いた結論ならば、自分自身も腹をくくれたり、他者に対して説得力が増すこともあるでしょう。


また、検討していない時よりも、前に進む原動力や推進力は生まれやすくなります。


「寺院の統廃合」に関わらず、大きな事業であればあるほど、それに関わる関係者の数は増えますから、多くの方と何度も対話をする必要がでてきます。


その時に、様々な角度から検討していないと、自分が考えていなかった意見や反対意見が出てきた時に、たじろいだり、気持ちが揺らいだり、苦しくなることもあります。


特に合併案などは、「ちょっと進めてみよう」なんて軽々しく発言したり、進めたりしていいものではありませんから、様々な角度から検討をした上で最適な解を出していくことは、やはり重要だと思います。



また、様々な角度から検討をして、自分としてはこうするしかない(最適解だ)と思っていても、それをすぐには理解してもらえなかったり、反発されることもあります。


近藤さんも、両者のお寺にとっていいだろうと思って出した結論であっても、反発や批判があった時に、「本当に自分が出した結論は正しかったのだろうか」「皆のためになっているのだろうか」と不安になることもあると、本音で語ってくださいました。


物事を実行する上では、決断する(最適解を出す)ことに加え、それをやり抜いていく実行力や胆力も求められます。


近藤さんは数年にわたり、関係者の方々と協議を重ね、合併案を前に進めておられるようで、その実行力や胆力も素直に凄いと思いました。


また、近藤さんの場合は、お寺の合併(という手続き)だけでなく、伽藍(建物)の再建事業も同時に進めておられます。


本堂などの再建事業をすると、「その重責からお寺の人は寿命を縮める」とも言われるほど、過酷なことでもあります。


「言うは易し、行うは難し」なことで、ご参加者の方々からも、近藤さんの心労を察したいたわりの言葉があったり、その行動に力をいただいた方も多くおられたようです。


ただ、近藤さんも言われていましたが、必ずしも「寺院の統廃合」だけが選択肢ではなく、近藤さんの場合は、そうする必要性があったからおこなっているとのことでした。


また、自分一人でできることでは到底なく、多くの支援して下さる方、理解して下さる方がいるからこそ、前に進んでいるともおっしゃっていました。


それぞれのお寺によって事情が違いますし、近藤さんの事例がそのまま各寺に当てはまるわけではありません。お寺の今後は、各寺の関係者が考えていく必要があります。


しかしそれでも、私も含め、ご参加者の多くが、近藤さんのお話から学びと活力をいただいたのではないかと思います。


こうした学びや刺激が、お寺で日々活動していく上で、個人的にも欠かせないものですし、それを皆さんと共有できていることを、とても嬉しく思います。


改めて、ご参加いただいた皆様、近藤さん、そして運営の皆さん、読んでいただいた皆様も、ありがとうございました。


(文章:Bラーニング 神崎修生)

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